ケセランパサラン探索隊



子供にとって大人とは、夢を与えてくれる者。しかし子供の夢を打ち砕くのも心ない大人だったりする・・・・。

私が小学生の頃、ワクワクするようなモノがたくさんあった。例えば、ケセランパサランという謎の生物だ。知ってるかな?

子供向けの雑誌等で、まことしやかに存在が噂されていた生物だ。見た目はタンポポの綿毛のようで生き物っぽくはない。

しかし、白粉を食べるというこの生物は、白粉タップリの箱に入れておくと増殖するというのだ。

これは、学校の誰よりも早く捕まえるしかないでしょう!そうすりゃぁ一躍人気者になるじゃん!!私は友だちのK君と一緒に、ケセランパサランを捕獲する冒険に出かけた。自転車で走ること数十分・・・。それはいとも簡単に見つかった。

場所はごく普通の住宅地、ある家の前にフワフワと宙に浮いているではないか!
私達は無我夢中で捕まえた。と、いうか別に逃げるわけでもないから集めたといった方が正しいな。いや・・・それに、無我夢中だったのは私だけだったか。

オッさん 「ん、お前ら何やってんの?」

    「え、えと、ケセランパサランを捕まえてるんです!」

オッさん 「えぇ?・・・・な、何だって?」

私は得意げにオッさんにケセランパサランの説明をしてやった。こっちはもう興奮状態である。オッさんと話してる暇など本当はないのだが、世紀の大発見で気分が良かったせいか親切にウンチクをたれてあげたのだった。

オッさん 「ケセランパサランってのはよくわからんが、それはウチのアヒルの抜けた羽だぞ・・・・」

    「・・・・・・」

よく見渡してみると、確かにその家の庭にはアヒルが飼われていた。そして、その周りには私達の周囲よりも大量のケセランパサランが宙に舞っていた。

私    「アヒル・・・・の・・・・羽!?」

オッさん 「そう。別に欲しければいくらでも持ってっていいけどよ。」

力なく笑ってその場を離れた事は言うまでもあるまい。

そう、いつだって大人は私の夢を打ち砕くのだ。せっかく気分良く夢を見ていたのに・・・・。(笑)その場で私が、これは本物じゃないと気づかなかったなら
翌日の学校では世紀の大発見を皆に報告していたのだ。

実物も見せびらかしながらね!こりゃ、違うぞ、な〜んていう奴なんかねじふせちゃったりしてさ。(笑)

でも、自分でも違うって気づいちゃったモンはどうしようもないじゃん。
天を見上げて、手から放されたケセランパサランは風に乗ってどこまでも舞い上がり、やがて青空に吸い込まれていきました・・・・・。



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